皆様、EC 2013 in うどん県(香川県)へようこそ!今年で11回目を迎えるエンタテインメントコンピューティング。
今回のテーマは、工学とアートの枠を超えた創造活動の活性化を意識して
"Between Art & Engineering" としました。
ここ、香川では今年瀬戸内国際芸術祭が開催されます。2010年に続き2回目の開催で、今回は春、夏、秋の三部構成になっています。
EC 2013 は秋の部の開幕と同時期になりますので、ぜひ合わせてお楽しみください。
さて、私は前回の瀬戸内国際芸術祭には地の利を活かして足繁く通いました。展示されているアートには、どこに置いても価値のあるモノもあったかもしれませんが、
ほとんどの作品は島々にある建物や自然、歴史、人々の生活をデザインの背景とし、そこに置くからこそ意味のあるものだったように思います。
それが感動を与える大きな力になっていたことは間違いありません。
EC には工学系の方からアート系の方まで幅広く参加していただいています。工学とアートの違いの一つとして、
大量生産あるいは繰り返し使われることを前提にデザインするのが工学、そんな前提は置かずにデザインするのがアート、
という見方はできると思います。もちろん工業製品にも大量生産品でないものや超ニッチなものもありますし、
アートでも大量に作るものもあるでしょうから、境界は明確ではないでしょう。
また、誰にでも有用なものを目指すのが工学、わかる人にわかってもらうことを目指しても良いのがアート、という見方もあるでしょう。
もちろん誰にでもわかるアートを目指している方もいるでしょうから、これも綺麗に分かれるものではないと思います。
エンタテインメントに工学を応用する場合、デザインの目標がいわゆる有用性ではなく、感動や楽しみを与える点であることに大きな特徴があり、
そこはアートとの共通性の高いところです。何に感動や楽しみを覚えるかは人によって差がありますから、
エンタテインメントを目的とした工学デザインでは汎用性とかユーザ層の広さといった従来の工学的価値を一旦は離れ、
一部の人でもよいからとことん楽しめるデザインをまず目標にする方が得るものが大きいと私は考えています。
瀬戸内国際芸術祭の作品がその場の環境と一体となって感動を与えるように、その場限りで、
あるいは特定のユーザ層に限ってでも面白かったり感動したりするデザイン成果が EC 2013 で多数披露されることを期待しています。
エンタテインメントコンピューティング 2013 実行委員長
垂水 浩幸